コンフリーは古くから食用や薬用として使われてきました。
しかし、コンフリーが原因による健康被害例が報告されています。そこで有毒植物についても紹介しておきたいと思います。
有毒ハーブについて
飲食用、薬用、クラフト用、観賞用などさまざま目的で利用されるハーブですが、かつては食用や薬用とされたものや現在でも工業用として用いられるために「ハーブ」とされているので紹介しておきます。
一般的に飲用、食用、薬用とされている植物のなかにも、多用しすぎたり、利用方法を誤ったりすれば有毒になるものもある事をくれぐれも忘れないでください。
さらに、私たちが普段、園芸用植物として親しんでいるものや、雑草として扱われるものの中にも、有毒な植物が含まれています。こうした植物は観賞用以外の目的で植えるハーブとは別の場所で栽培するなど注意が必要でしょう。
コンフリー common confrey
分類:ムラサキ科ヒレハリソウ属
英名:common cofrey
和名:ヒレハリソウ
学名:Symphytum officinale
原産地:ヨーロッパ、小アジア、シベリア西部
利用部位・収穫時期:葉と茎は一年中、根は薬用
性質:耐寒性 多年草
日本には明治時代に渡来した。属名Symphtum(シンフィツム)はギリシア語の「結合する」という意味で、傷を治す効能がある事にちなむ。葉はヨーロッパでは古くから食用や薬用とされてきた。
しかし、平成16年6月14日に厚生労働省から
シンフィツム(いわゆるコンフリー)およびこれを含む食品の取り扱いについて
の勧告が出され、コンフリーが原因と思われるヒトの肝静脈閉寒性疾患等の健康被害例が海外で報告されているいること、また、日本においてもコンフリーを使用した健康食品等がインターネットを使って販売されていることなどの情報から、日本においてコンフリーを摂食する事によって健康被害が生じるおそれがあると考えられる・・・
トリカブト Acanitum app
キンポウゲ科、トリカブト属
原産地 ヨーロッパ
性質・形態 多年草で高さ60~150cm
葉には深い切込みがある。初夏に紫色または青色のかぶと形の花をつける。
毒性 全草に毒性がある。特に根には植物界でもっとも強力な神経毒とされる。かつては毒矢や死刑囚の毒殺用に使われた。古くから薬用植物と知られ、現在でも漢方では処方されることもある。花の美しさからもっぱら観賞用として栽培される。誤って食べると、口がしびれ、嘔吐、不整脈が生じ、大変なことになる。
ラークスパー Consolida ambigua
キンポウゲ科、エンソウ属
和名 ヒエンソウ
原産地 地中海沿岸
性質・形態 1年草で高さ1m。
初夏に直径3cmほどの花を縦状花序につれる。花色は濃紫、白、ピンクなどで、観賞用として楽しめる。
毒性 動物の皮膚や体毛などの寄生虫の病気の治療薬をつくる。全草にトリカブトに似た神経毒があるが、毒性は種子がもっとも強い。中毒症状は歩行困難、体温低下、けいれんなど。薬草としての歴史は古いが、現在は使われていない。
クリスマスローズ Helleborus niger
キンポウゲ科、クリスマスローズ属
原産地 ヨーロッパ南東部
性質・形態 多年草で高さ50cm。
早春に咲く白色や淡紅色の花は観賞用として人気が高く、育てやすいが夏の高温多湿には弱い
毒性 全草が有毒で、汁液を皮膚、粘膜につけると炎症を起こす。特に根茎は猛毒で、かつては手術などにも用いられていたといわれているが、現在は使用しない。属名のHelleborus(ヘラレポルス)はギリシア神話のアトロポスに由来し、この女神は人の命の糸を切るはさみを持つとされ。
ドクニンジン Conium maculatum
セリ科、ドクニンジン属
原産地 ヨーロッパ
性質・形態 2年草で高さ2~2.5m。
温帯に広く分布し、測候空き地で見られ、葉は人参のように細かい切れ込みがある。夏に白い花を咲かせる。山菜として知られるセリ科のシャクと似ているが、茎に赤紫の斑点があるので区別できる。全草から異臭がする。
毒性 全草に毒があり、果実と葉は特に毒性が強い。古代ギリシアでは熟す前の果実を煎じた液を死刑に用い、ソクラテスもこの液で処刑されたといわれている。現在は抽出成分を医薬品の原料として使っている。
ヨウシュヤマゴボウ Phytolacca amerana
ヨウシュヤマゴボウ Phytolacca amerana
ヤマゴボウ科、ヤマゴボウ属
原産地 北米・中米
性質・形態 多年草で高さ3~4m。
日本各地に帰化し、あっちこっちの半日陰に繁っている。白色またはピンク色の花を縦状花序につける、花後の液果は熟すと暗紫色になる。
毒性 春の若菜は食べられるというが、生長にともなって全草が有毒になるので若菜も食べない事、肉質の太い根は、古くから薬用に使われてきたが、嘔吐、下痢、腹痛、けいれんなどを起こす。外用的には、根と葉がともに湿布剤として関節炎や皮膚炎の治療に利用される。
ペラドンナ Atrope belladonna
ナス科、ペラドンナ属
和名 セイヨウハシリドコロ
原産地 ヨーロッパ、アジア西部 性質・形態
多年草で高さ1.5~2m。夏から初夏に紫色の筒状花をつける。低木状に繁る。
毒性 全草に強い毒があり、多年生の太い根は特に猛毒。葉からペラドンナエキス、ペラドンナチンキが精製され、鎮痛剤などに利用されてるが、一般利用は極めて危険。
ヒヨス Hyoscyamus niger
ナス科、ヒヨス属
原産地 ヨーロッパ
性質・形態 多年草または2年草で高さ80~100cm。
荒地や畑にみられる。葉は深い鋸歯があって柔毛に覆われている。全体に特異なにおいがある。花はくすんだ黄色で紫色の脈が入っている。
毒性 かつては鎮静作用のある痛み止めとして広く用いられていた。しかし、内服し危険で、けいれんや麻痺を起こす。このため現在は使用を制限され、葉の抽出液を専門家の扱う薬品として使用するのみです。
ヨウシュチョウセンアサガオ Datura stramonium
ナス科、チョウセンアサガオ属
原産地 不明
性質・形態 1年草で高さ1~2m。
世界中の空き地などで雑草化している。花は白または黄色の大きなラッパ状。萌果(さくが)はとげに覆われている、全体に生臭いようなにおいがある。
毒性 全草に毒性があり、摂取すると極めて危険である。ペラドンナやヒヨスと同じナス科で、抽出成分も共通している。現在は専門家の手によって、一部治療に用いられている。
フォックスグローブ Digitalis purpurea
ゴマノハグサ科、キツネノテブクロ属
別名 ジキタリス
原産地 地中海沿岸西部
性質・形態 2年草または多年草で、耐寒性がある。
初夏に紫紅色の釣鐘形の花をつける。花の内部に濃い紫色の斑点がある。花色は白やピンクもある。世界中で観賞用に栽培されている。
毒性 全草に毒性の成分を含む。多量に摂取すると嘔吐、頭痛、不整脈、心不全などを起こす。強心剤のジギトキシンとジゴキシンは本種の葉からとれたもので、作用が強いので使用は専門家に
イヌサフラン Colchicum autumnale
ユリ科、イヌサフラン属
原産地 ヨーロッパ、アフリカ北部
性質・形態 湿った林床や牧草地に生える多年草で、秋に紫色の花をつける。約20cmの葉と果実は春に姿を残す。世界中で観賞用に栽培されている。
毒性 鱗茎と種子に有毒成分のコルヒチンが含まれる。コルヒチンは植物の染色体を倍加させる働きがあり、種子なしスイカの作出など、農業分野で応用されている。古代ギリシア・ローマ時代からリウマチ屋痛風の治療に応用されている。現在はあまり使われていない。
ドイツスズラン Convallaria keiskei
ユリ科、スズラン属
原産地 ヨーロッパ北部
性質・形態 多年草で、高さ15~30cm、ヨーロッパや北米北東部の産地の産地の林床に群生かる。
初夏に花茎をのばして、白い釣鐘状の香りのよい花をつける。ほふく茎を良く伸ばし株分けで増やすことができる。
毒性 全草にフォックスローブに似た毒がある。根は強心剤、利尿剤として、16世紀以来、使用されてきた。抽出成分にも薬効の認められている働きはあるが、多量に摂取すると危険である。現在は観賞用に栽培されている。葉は染料になる。
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